ミニレポート3 鳥海山の麓 アガリコの森

〜奇形ぶなの森と湧水〜

鳥海山の麓にアガリコの森とよばれるブナの森が有る。はたしてどんな森なのか。5月なかば、まだ中腹まで残雪が残る鳥海山を訪れた。

 

アガリコ大王を訪ねて
もう5月半ば。新緑が終わり、深い緑につつまれつつある麓の村に、こつ然と姿を現す白い鳥海山。スケールが狂っているような、でかさ。この山の存在感は東北の山の中でも抜きんでていると思う。
天気が曇りなのが残念だが・・・。鳥海山の麓にはブナの森が広がっている。ただ戦後かなり伐採されたらしく、今は再生の時のようだ。ここまでの道も2次林が殆どだった。ブナの原生林を眺めたいなら私のお薦めは月山だ。いや、鳥海山もいいんだけどね。
それはともかく、県道58号線でブナの森に入っていく。自然林のブナの森は、杉の植林地や照葉樹の森のように昼でも真っ暗ということはない。植林と違って木々の間隔は不規則で、葉も透明感が有るためか、林床は明るく、概して爽やかな印象がある。
しかし、この森に一歩足を踏み入れると、重苦しい雰囲気に包まれた。不気味と感じるほど。何となく木々が悲しそうな気がしたのだ。

そこはアガリコの森だった。

アガリコとは薪や炭の材料にするために切られた枝の跡が、こぶ状になったり変形して生長することなのだそうだ。雪の重みで折れたりして自然にアガリコになることも有るが、この森のアガリコは人の手によるものだ。
果たして、力学的にどうよ?と思うような枝振り。元はといえば人の手による物なのだが、ブナは負けることなく生きてきたのだ。冬場は数メートルにもなる積雪の重みにも耐えているのだから、生きているブナの木の強度は相当なものだと判る。
上を見上げると大きな葉が、元気良く茂っていた。


これがアガリコ大王。最大のブナにしてこの森の主だ。

緑の鮮やかさとブナの生命力に感動しつつ、でも、痛めつけられたブナが可哀想でもあった。さて、この森を訪れた時、皆さんはどう思われるだろう。

でつぼ
ブナの緑につつまれて1時間程歩くと、湧水池に出た。「でつぼ」と呼ばれている。ph4.8位で飲めないらしい。
大量の水が湧きだし、川となって流れていく。
訪問に際して
遊歩道について:入口からアガリコ大王まで40分程。遊水池も含め全て回ると3〜4時間コースとなる。遊歩道には木道が整備され歩きやすい。

アプローチ:県道58号線は中島台より東側は狭路で曲がりくねっていて時間がかかる。ただしブナの保護林の中を突っ切っていくので、興味がある人にはお勧め。普通は海沿いのR7から県道に入った方がいい。

温泉とか:象潟のR7沿いの道の駅「ねむの丘」に温泉有り。展望が素晴らしい。

キャンプ場とか:中島台レクレーションセンターにキャンプ場あり。たしか一人1000円位だった。でも蚊が多くてお勧めしない。
男鹿半島のツーレポで紹介した遊佐町の「西浜キャンプ場」(道の駅鳥海の海のゾーンにあり)がお勧め。そばに「あぽん西浜」という日帰りの温泉施設もある(上の地図の一番左下の温泉マークがそれです)。

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