ツーリングレポート

北上山地・鳥海・月山ツーリングPART2

〜陸前高田・大船渡・荒川高原・川井住田大規模林道・八戸川内大規模林道・R455早坂峠旧道・相の沢キャンプ場〜

訪問日:2014年6月中旬  掲載日:2015年3月9日

陸前高田へ  
翌朝、水沢からR397で三陸出ることにしました。改良済みの区間が多くなっています。
種山高原を過ぎると旧規格化しますが、改良工事が着々と進んでいるようでした。釜石道など自動車専用道路の整備も急ピッチ。三陸に至る道は各地で改良が進んでいるようです。
R340に乗り継いで陸前高田に向かいます。
山あいから出てきたところで、コメリがあったので買い物。建物はプレハブですが、品揃えは充実していました。
陸前高田の中心部は荒野となっていましたが、山際にはスーパー、ドラッグストア、銀行、100円ショップやコンビニまで、全国チェーン店のプレハブ店舗が色々と出来ていました。
イオンも出来上がりつつありました。全国チェーンの動きは速いですね。企業としての復興支援の意図もあるのでしょうけど、素早いビルドは、やはり資本力の差がものを言う感じです。
広い平野部へと降りていきます。リアス式三陸海岸で、これだけ広い平野部があるのは陸前高田だけでしょう。確かに、山までの距離が遠すぎる。
暫く荒野を彷徨います。遠くで復興の為に沢山のダンプと大規模プラントが動いていますが、街の中心部だった場所には人っ子一人居らず。
広大な、何も無い空間。震災直後は瓦礫の山だったはずですが、撤去されて荒野に戻りつつあるようでした。
そんな荒野の中に、ポツンと立つ5階建て集合住宅。周囲の建物が撤去されている中で、この建物だけが残されていました。保存する意図があるのでしょうか。
4階まで津波が来たというのが恐ろしいですね。市内に5階建て以上の建物がもう少し多くあったら、助かった人が多かったのではと思います。被害の大きかった市民会館も3階建てでしたし。
平野部に点々と存在する盛り土。
山を切り崩して、巨大ベルトコンベアーで土砂を運び、街全体に人工的な高台を建設していました。日本だから出来る力技だと思います。
出来上がった高台には高層の建物が着工中。あと十年位すると、陸前高田は日本有数の未来都市となっているかもしれません。瓦礫の山だったあの状態から3年で、将来の未来都市建設を想像出来る状態まで持ってくるとは・・・。
しかしここに至るまでの各担当者の苦労と尽力はいかほどのものかと思うと・・・ひたすら頭が下がります。
(人口減少社会でこの田舎にこれだけの規模で都市建設することについての異論は無いこともないのですが。)
大通りを走っていきます。
ここは、もしかして駅前広場・・・。
賑やかだったはずの駅前商店街の沢山の店は、全て消失していました。
駅の周辺を歩きましたが、誰にも会わず。
ホームの端まで歩いてみることにしました。

凄惨だった被害状況は3年で風化して、まるで遺跡を歩いているような印象を受けました。
意図的に被害状況を何らかの形で残さなければ、百年後には忘れ去られてしまいそうです。

大船渡  
その後は峠を一つ越えて大船渡へ。震災直後にTVでよく見た港が見えてきました。瓦礫に埋もれていた港は、綺麗に片付けられていました。
R45は比較的高い位置を走ることが多いので、さほど津波の影響は見えません。
港の近くの街は流されて瓦礫の山となり、国道付近も水に浸かっていたはずですが、片付けられて一見綺麗な道路風景になっていました。津波が来たと知らない人なら、気付かないまま通過してしまいそうです。
市役所含め市街地がほぼ全滅してしまった陸前高田と違い、標高の高い土地にも市街地が広がっていてインフラが残っていた為に、復旧速度が早かったのかなと思います。もちろん港付近はまだ、瓦礫が撤去されただけの空き地だらけでしたが。

大船渡と陸前高田は岩手県で最も被害が大きかった市です。浸水面積は大船渡の方が若干広いくらい。
しかし地形によって被害の受け方は大きく異なるというのが実感出来ました。
次の被害を防ぐには、やはり目で見て、自分の地域ではどうなるのか想像することが大切なのだろうと思います。

荒川高原、川井住田大規模林道+八戸川内大規模林道
大船渡を後にし、R107、R340と走って、県道238に入りました。集落を過ぎると、とんでもない極狭路でしたが・・・
途中から「大規模林道、川井住田線、日之影蕨峠区間」に接続、適度なワインディングで進みます。

↑昔作った大規模林道地図です。手抜きでスミマセン。
遠野市街を掠めて、「大規模林道、川井住田線、横沢荒川区間」に入りました。2車線ワインディングでグングン標高を上げて、北上山地の台上へ。

荒川高原を走り抜けます。のどかで、高所感もあって、いい場所でした。
一旦タイマグラに降りて、再びグングン高度を上げます。前回訪問時には工事中だった、新設の区間です。
まだ出来たてホヤホヤ、曇りで写真写りはイマイチとなってしまいましたが、実際には早池峰山の脇を行く、素晴らしく綺麗で、高所感溢れる快走路でした。日本でもトップクラスのスーパーワインディングロードと言っていいでしょう。

で、最初は凄い道だと驚きつつ快走していたのですが、山の向こうからゴロゴロドッカーン!と雷鳴が聞こえてきました。雨がパラパラ・・・。
トンネルに入ったところで土砂降りに。稲妻が走り、雷が落ちまくって命の危険を感じるレベル。とても外に出られません。トンネルがあって助かりました。
2005年竣工、緑資源機構。ツーリングマップルにはちゃんと描かれていませんでしたが、峠はトンネルで越えていたのですね。
50分程滞在して、通った車は3台だけ。

雨が上がりました。再スタート!

素晴らしい道が続きます。晴れだったら、もっと良かったのですが。

川内からは「八戸川内大規模林道」に入りました。無人地帯を行く素晴らしい快走路!
と思ったらクマが!慌てて急ブレーキするも、結構近づいた所で止まってしまいました。もしこっちに走ってこられたら、Uターンしている間に襲われそうです。どうしよう・・・。まさかのクマと睨めっこ。

暫くして、クマが草むらに首を突っ込んで何やら始めたので、意を決して後ろを通り過ぎました。怖かったですw
8年程前、完成時に話題となったパノラマ区間です。当時草原だった斜面も樹木が成長して、昔ほどのパノラマ感は得られなくなっていました。
この辺りは標高数百メートルの樹林地帯ですから、森林限界を突破していく八幡平アスピーテラインのような訳には行きません。あと十年すれば樹林ロードと化してしまうでしょう。

こういう変遷を見ると、やはりアスピーテライン、ビーナスライン、志賀草津道路といった亜高山帯〜高山帯を通る道や、笹谷峠のような風衝地帯を通る道は特別なんだなと思います。
岩泉の龍泉洞へ  
岩泉で龍泉洞を訪ねました。
駐車場から洞窟までの遊歩道がいい感じ。
ちょっと高いかと思いましたが、通路の充実っぷりを考えると妥当かも。
内部温度11.6度。かなり寒かったです。夏に訪れるなら防寒着を持っていかないと風邪を引いてしまいそうです。

遊歩道はコンクリが流し込まれたり、木道が張られたりと、驚くほど整備されていていました。ライトアップも綺麗で、まるでテーマパークのよう。
あれ?こんなところだったっけ?もっと素朴な道だったような?
入るのは20年ぶり位ですが、地底湖を除くと、昔の記憶と全然一致しません。昔の姿が全く思い出せず、少々ショック。テーマパーク化が進んだからでしょうか。
ただ、地下水脈が豊かで、地底湖が広がり、ダイナミックな鍾乳洞という印象だけは共通していました。

鍾乳洞マニアではないのでハッキリとは言えませんが、日本で最も面白い類の鍾乳洞ではないでしょうか。デートなんかにも良さそうな、そんな感じ。
岩泉〜早坂峠〜R455〜盛岡〜滝沢村相の沢キャンプ場  
八戸川内大規模林道は八戸まで続きますが、一泊二日で全部走るのは無理。岩泉からR455で盛岡方面に向かうことにしました。
お目当てはR455早坂峠旧道です。国道455号線は岩泉と盛岡を結ぶ国道だけに、しっかり整備された道でしたが、2007年に全長3km程の早坂トンネルを含む早坂道路が開通し、旧道に格下げとなりました。
こういう、新道が出来て寂れた旧道って、好きです。
峠には広い駐車場と公園。かって賑わっていただろうドライブインは閉鎖されてしまっていました。
R455現道に合流すると、丁度営業車が盛岡に帰る時間帯に当ってしまったようで、交通量は多目でした。
R455自体は適度にコーナーが続く変化に富んだ国道で、空いていれば非常にいい道だと思います。休日は盛岡のライダーの定番スポットとなるのでしょう。個人的には道としての速度レンジ高すぎてさほど好みではありませんが(個人的には速度出さなくても変化が楽しめる道の方がいいですね)。
この後一気に暗くなってしまったので、いつもの相の沢キャンプ場へ。相客はカップル一組だけ。近所の日帰り温泉にも入り、マッタリ過ごしていたのですが・・・。
相の沢キャンプ場は牧場隣にあります(写真は朝撮影したもの、)
・・・パラリラパラリラ〜、ブオンブオン、ウォウォウォウォン、モー。深夜0時を回った辺り、ふと起きると暴走族の爆音が近づいてきます。こんな山奥に暴走族かよ、嘘だろうと一瞬迷ったのですが、このままではヤバイということで駐車場にダッシュ!バイクにまたがりアクセルオン。ダートを走って森の奥のテント脇に持ってきました(相の沢キャンプ場は本来、車両侵入禁止ですが、緊急避難です)。まさか暴走族が真っ暗な凸凹ダートを走って、サイトまで来るわけないですし。

どうやら、山奥なら警察も来ないので、思う存分コールを切る(大きい音を出すことらしい?)練習が出来るということだと思います。しかし、今どきの暴走族は山奥で修行するのかと驚愕。

ちなみに、モーというのは牛の鳴き声。何故か暴走族がコールを切ると、牛が反応しても〜っと鳴くのが1時間ほど続きました。深夜の暴走族と牛の触れ合い。カオスな夜が更けていきます。
PART3に続く。翌日は鳥海山と月山です。
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